半導体製造において、工程の清浄度はデバイス性能と歩留まりを左右する重要な要素です。ウェハそのものだけでなく化学薬品に含まれる微量な不純物も、歩留まりの低下やデバイス不良の原因となります。デバイスの微細化が進むにつれ、不純物の影響リスクはさらに高まり、製造工程の清浄度管理がこれまで以上に重要となっています。
こうした課題に対応するため、超高感度なICP-MSを用いて、超純水や洗浄試薬などを極微量レベルで分析し、工程の清浄度を高精度に管理することが不可欠です。
ここでは、トリプル四重極 ICP-MS (ICP-QQQ)を用いた超純水および高純度試薬の評価事例をご紹介します。
事例1. 超純水の分析
| 目的 | 超純水製造装置の定常運転時において、半導体製造に求められる清浄度基準を満たしていることを確認 |
|---|---|
| 分析対象 | 半導体の特性に影響を与える金属元素 (例: Na、Al、K、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn) |
| 結果 | 超純水製造装置の運転開始時には、配管系やフィルターから数pptレベルの微量な不純物(主に金属イオン)が溶出することが観測されました。 これらの初期不純物は、十分なフラッシングを行うことで除去可能であり、その後の定常運転では要求される高純度の超純水を安定して供給できることを確認できました。 |
表 超純水の分析例
| 元素 | 運転開始直後の超純水 | 定常運転時の超純水 |
|---|---|---|
| Na | 10 | ND |
| Al | 6.1 | ND |
| K | 7.9 | ND |
| Ca | 8.4 | ND |
| Cr | 1.1 | ND |
| Fe | 5.4 | ND |
| Ni | 1.2 | ND |
| Cu | 3.3 | ND |
| Zn | 2.8 | ND |
このデータは、ICP-MS分析で得られる超純水中の微量金属濃度の一例です。
事例2. 高純度試薬の分析
| 目的 | 半導体プロセスに用いられる過酸化水素、硝酸、ふっ化水素酸、硫酸などの洗浄液およびエッチング液の極微量金属分析による品質評価 |
|---|---|
| 分析対象 | 半導体プロセスの品質管理上、重要となる金属元素 (例: Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn) |
| 結果 | 清浄度の高い分析環境下でICP-MS(ICP-QQQ)による極微量金属分析を実施した結果、各元素の濃度がpptレベル以下であることを確認しました。 |
表 高純度試薬の分析例
| 元素 | 過酸化水素 | 硝酸 | ふっ化水素酸 | 硫酸 |
|---|---|---|---|---|
| Na | 1.0 | ND | 1.0 | ND |
| Mg | ND | 1.1 | ND | 1.1 |
| Al | 1.2 | 1.2 | ND | ND |
| K | 1.0 | ND | 1.3 | ND |
| Ca | ND | ND | ND | ND |
| Ti | ND | ND | ND | ND |
| Cr | ND | ND | ND | ND |
| Mn | ND | ND | ND | ND |
| Fe | 1.0 | 1.2 | 2.2 | ND |
| Ni | ND | ND | ND | ND |
| Cu | ND | ND | ND | ND |
| Zn | ND | ND | ND | ND |
このデータは、ICP-MS分析で得られる高純度試薬中の微量金属濃度の一例です。
外部からの汚染を徹底的に排除したクリーンルーム環境と、最先端のICP-MS(ICP-QQQ)を駆使する専門技術者の高度な分析技術で、超純水や高純度試薬の製品品質管理をサポートします。

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